マルセイユタロット講座、4回目の今回は、「視線で読む」の意味
についてご紹介していきます。
マルセイユ版のタロットカードは、ウェイト版に比べると圧倒的に参考書の数が少ない・・・。
しかし、限られた書物の中にはほとんど必ず書かれていることがあります。
それは、「マルセイユ版タロットは”視線”で読むのだ」ということ。
これは一体どういう意味なのでしょうか?
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
まずは並べてみよう
マルセイユ版タロットカードの醍醐味といえば、カードに登場する人物たちの「視線」です。
試しに、大アルカナのカードを並べてみてください。
ウェイト版と比べると、人物が向いている方向は様々。
例えば、1の魔術師~5の教皇までは、ウェイト版だとどの人物も「正面」を向いていますね。
しかし、マルセイユ版は視線の先がてんでバラバラ。
左を向いている人もいれば右を向いている人もいて、なんだか意味深・・・。
魔術師は女教皇からの視線を避けているようにも見えますし、女帝と皇帝は夫婦で見つ合っているようにも見えます。
「恋人たち」のカードでは、二人の女性に挟まれた男性は身体と視線の向きが反対。
戦車の馬も、ウェイト版ではそれぞれ違う方向を向いていますが、マルセイユ版だと同じ方向を向いています。
一方で、「正義」はどちらも真正面を向いているのも興味深いですね。
タロットカードでは正面は「現在」を表すと言われていますで、過去でもなく未来でもなく「今」を客観的かつ冷静に見つめていることを象徴しているようです。
物事の真理だけはいつの時代も変わらない。そんなメッセージ性も伝わってきますね。
このように、「視線」に注目し「どうしてこの人はこっちの方向を向いているのか?」と考えてみるとリーディングの幅も広がるでしょう。
愚者はなぜ逆の方向を向いているのか
「視線」にフォーカスしてみると、ウェイト版とマルセイユ版で愚者の向いている方向が逆であることに気付くでしょう。
ウェイト版では、左(過去)の方向を向いていますが、マルセイユ版では右(=未来)を向いていますね。
ここには、「肉体は滅びても魂は不滅だ」という強いメッセージが込められています。
愚者のカードは、ウェイト版では「0」ですが、マルセイユ版だと「世界」の後に位置づけられていますよね。
つまり、マルセイユ版のほうが「未来志向」が強く、魂の旅がこれから先もまだまだ続いていくことを暗示しています。
どちらの愚者も「その日暮らし」の放蕩者であることに違いないのですが、ウェイト版の愚者はまだ行先が定まっていない未熟な状態を表しているのに対して、マルセイユ版のほうは自分の使命はわかっていて、ここまでの人生を踏まえて「未来に向かっていく」という強い意志があるようにも感じられます。
実際の鑑定で出た場合、ウェイト版なら「なにもわからず右往左往する」、マルセイユ版なら「全てを悟っているからこそ、あえて何にも属さない」・・・こんなリーディングもできるかもしれませんね。
このように、視線や身体の向きを含めてカードを見てみると、ウェイト版とマルセイユ版とでは鑑定の解釈も変える必要がありそうです。
マルセイユ版だからこそ生まれる「テーマ」
ウェイト版とマルセイユ版では、描かれている人物の数が違っているカードも多いです。
描かれている人の数が増えれば、そこに「絡み合う視線」が生まれますよね。
例えば「太陽」のカード。
ウェイト版では1人しかいない子供が、マルセイユ版では二人描かれていて、お互いを見ていますよね。
基本的な意味としては「生命力」「成功」「エネルギー」「公明正大」といったものですが、そこに「絡み合う視線」が生まれることで、「人とつながること」「友愛」という意味も付加されているのです。
子供が他者と初めて出会った時に生まれる、純粋な好奇心、わくわく感、つながり。
太陽に祝福される人間関係、調和、チームワークを活かして大成功!・・・こんなリーディングもできるでしょう。
これはマルセイユ版ならではの解釈ですよね。
誰が誠実で、誰かそうではないのか
マルセイユ版では、人物の顔の向き(視線の向き)と身体が向いている方向にも要注目!
視線は右を向いているのに身体は左。
このような微妙な描き方をしているカードも多いですね。
そこには、その人物の「建前」と「本音」が表れています。
つまり、「表向きは未来を向いているけど、本音は過去に縛られている」⇒「表向きは次の恋に向かっているけれど、本当は過去の恋をひきずっている。復縁したい」このようなリーディングもできるでしょう。
「マルセイユ版はわかりにくくて苦手だ」という声も多いですが、実は人の心理状態を読むならマルセイユ版の方が読みやすいという捉え方もできるかもしれませんね。
ウェイト版のように状況が細かく指定されていないからこそ、その人物の細かな心の動きに注目して読めるとも言えます。
人間関係や恋愛に関することを鑑定する場合は、ウェイト版よりもマルセイユ版のほうが本質を突いたリーディングができるのではないでしょうか。
【まとめ】本音を読むならマルセイユ!タロットは用途に応じて使い分けを
マルセイユ版タロットが「視線で読む」と言われる所以についてご紹介しました。
二種類を比べてみるとわかるように、マルセイユ版は登場人物が向いている方向がてんでバラバラ。
しかし、一見、深い意味はないように思えるその視線に、登場人物の本当の気持ちが隠されているのです。
これは、相談者の無意識に秘められた本音を引き出す上で有意義なツールとなるはず。
ウェイト版ではわからなかった細かな感情のブレを読むこともできますので、ぜひ同じテーマについて両方のカードでリーディングしてみると良いでしょう。
改めて、マルセイユ版の不思議な魅力に惹きつけられるはずです。
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