インド占星術×カルマ講座では、インド占星術をカルマという視点でご紹介していきます。
9回目の今回は「出生図の土星とカルマ」というお話をしていきます。
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
カルマの監督者
土星といえば、インドではカルマの監督者と呼ばれる存在です。
土星の神様はシャニで、サンスクリット語で「ゆっくり」という意味になります。
太陽からとても遠く離れている惑星なので、太陽の光が当たらずに寒くて乾燥した惑星ですね。
土星とカルマは密接に関連していて、人生の浮き沈みに直面した時、冷静で平静な心を持つように教えてくれる存在とも言えます。
ヴェーダの神話では、シャニは太陽神スーリヤとチャヤの間に生まれた子になります。
スーリヤには妻がいましたが、妻であるサンジャは太陽の熱に耐えられずに、影武者チャヤをおいて実家に帰ってしまったのです。
その間にできたのが、シャニになります。
チャヤはシヴァ神を熱心に崇拝していて、シャニを妊娠している間も苦行の修行を行っていたそうです。
その結果としてお腹の中にいたシャニにも影響が及び、浅黒い顔で生まれくることとなりました。
父であるスーリヤ神は、不審に思い、自分の子ではない!と、シャニを可愛がらなかったのです。
また、シャニは足が不自由な神様として描かれていますが、
これにも理由があり、スーリヤの妻であるサンジャの子が、土星に腹を立てて足を殴ったため、足が不自由になったという神話があります。
足を引きずって歩くため、もっとも遅い惑星だということですね。
シャニは、母であるチャヤが崇拝していたシヴァ神を崇拝していました。
そんな中で、シヴァ神はシャニに対して、人々の行動に応じて、報酬と罰を与える正義の神として、シャニを選びました。
土星は因果の原理を司どると信じられているため、正義の神様であり、カルマの神という地位を得たのです。
そんなことから、シャニ、土星は個人が自分自身の行動の結果に直面することをを見守る監督者になったということですね。
監督するのは、悪行だけではなく、もちろん善行も監督します。
正義の神様でもあるので、カルマのみならず、ダルマも司っているということにも繋がってきますね。
シャニは、先ほどお伝えしました通り、足を引きずって歩く遅い惑星です。
つまり、カルマの結果も、すぐに現れるのではなく、徐々に明らかになることを示しているということになります。
鈍い動きというのは、別の視点から見ると意図した目標に向けて、長期目線で考えていくことができる資質も持っているということですね。
土星とカルマの負債
シャニには、ヤマという兄弟がいます。
両者とも、人をさばきに欠ける存在で、
・ヤマ→来世でカルマの負債を清算するように私たちに伝える存在
・シャニ→生きている間に、負債を清算するように私たちに教えてくれる存在
になります。
土星であるシャニは、死神ヤマがこの世を去るときにどうするか?という裁きをかけるのに対し、
「なぜ、カルマの負債を返すのを死ぬ時まで待つ必要があるのか?」ということを私たちに教えてくれる存在です。
チャートの土星は、ゆっくりゆっくり進み、29年かけてチャートを一周します。
土星が伝えてくれるメッセージを完成させるのには29年かかるということ。
なので、私たちに伝わるのも、当然ながらゆっくりなのです。
今こそ、過去生で積んだカルマを返済しなさいと伝えてくれる存在が土星です。
ということは、土星がいてくれるからこそ、私たちは輪廻転生から自由になることができる。
とも言うことが出来ますね。
最後に、土星でしんどい思いをされている方への処方箋を、インド占星術を学ばせていただいたインドの先生がおっしゃられていましたので、シェアさせていただきます。
先生曰く、
土星の問題の多くは、寄付で解決できるということ。
寄付というのは、必ずしもお金の寄付ではなく、人に親切にすることも寄付の一つだそうです。
自分自身の何かを与えること、困っている方のお世話をすること、高齢者や貧しい方々のお世話をすること、食べ物を与えることなど
ダルマを実践していくことで、土星の問題から脱することもできると学ばせていただきました。
カルマは返済する必要があると、自分自身の中に落とし込むだけでも、土星から逃げずにきちんと向き合う覚悟ができるはずです。
まとめ
それではまとめです。
土星はスーリヤとチャヤから生まれたシャニで、神話を紐解いていくことでどんな存在なのか?知ることができます。
また、土星は、カルマの監督者などと言われていて、今こそカルマを返す時だと教えてくれる存在です。
カルマを返済し、義務を全うし、やるべきことをやりなさい。
と教えてくれる厳しめの先生ですが、実は、私たちの魂が自己実現を達成するためになくてはならない星であり、自己実現という視点から見ると、土星の存在こそ、私たちの魂をモクシャに向かわせてくれるということなのかもしれませんね。