インナーチャイルドカード講座3回目の今回は、小アルカナの構成は?(ウェイト版との違い)についてのお話をしていきます。
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
小アルカナは4つのスートで構成されている
古くから伝わる一般的なタロットカードは、22枚の大アルカナカードと、56枚の小アルカナカードで構成されています。
インナーチャイルドカードも例外ではありません。
大きく分けると大アルカナと小アルカナに分かれていますが、その構成は伝統的なものとは少し違っているようです。
おそらく多くの方が親しみのあるタロットカードといえば、アーサー・エドワード・ウェイト氏とパメラ・コールマン・スミス氏が手掛けた「ウェイト版タロットカード」でしょう。
このタロットでは、小アルカナは火、風、水、地の4つのスートに分けられています。
具体的には、
火…Wand ワンド
風…sword ソード
水…cup カップ
地…Pentad ペンタクル
のようになっていて、それぞれ1~10の数札が10枚と、人物が描かれた4枚のコートカードで構成されています。
人物札の4枚は、それぞれ
・ペイジ
・ナイト
・クウィーン
・キング
という構成になっています。
では、インナーチャイルドカードはどうなっているかというと、基本的な考え方は同じですがスートの名称が異なります。
火…Wand ワンド ⇒ 魔法のワンド
風…sword ソード ⇒ 真実のソード
水…cup カップ ⇒ 翼を持つハート
地…Pentad ペンタクル ⇒ 地球のクリスタル
つまり、一般的な「カップ」に相当するものが「ハート」となり、ペンタクルは「クリスタル」として描かれています。
「水」は元々、「感情」を表すスートですから、「ハート」のほうがしっくりくるという方も多いかもしれません。
「地」は「お金」をはじめとする「物質的なもの」を表すスート。
クリスタル(水晶)も大地から生まれるものですから、イメージ的に納得しやすいのではないでしょうか。
人物札の構成は?
数札に加えて、人物が描かれている「コートカード」にも違いがあります。
・ペイジ ⇒ チャイルド
・ナイト ⇒ シーカー
・クウィーン ⇒ ガイド
・キング ⇒ ガーディアン
ちょっと聞きなれない言葉が多いですね。
・ペイジ ⇒ チャイルド
これは、いずれも「子供」「年下の人」「学生」「素直さ」「純粋さ」などを表しています。
チャイルドは日本でも普通に使われている単語ですから、それほど違和感はないでしょう。
・ナイト ⇒ シーカー
これは「Seeker」をあらわし、「探し求める人」「調査する人」「探求する人」と言った意味があります。
タロットでは馬に乗った男性(騎士)が描かれることが多いですが、これもある意味では何かを探し求めている人の象徴。
どちらも、「静」ではなく「動」。自ら動いて何かをつかみ取ろうとする人を表しています。
・クウィーン ⇒ ガイド
ガイドは「guide」で、「案内する人」「手引きをする人」という意味があります。
クウィーンというと、日本人の私たちにとっては「身分の高い女性」というくらいのイメージしかないかもしれませんが、ヨーロッパでは慈愛の心を持つ女性の象徴です。
大きな愛、大いなる力で人々を教え導く存在ですから、まさに「guide」としての役割を担う女性。
クウィーン ⇒ ガイド の置き換えは、海外の方は日本人ほど違和感や疑問を抱かないのかもしれませんね。
・キング ⇒ ガーディアン
ガーディアンは「守護者」「保護者」「管理人」という意味を持つ単語です。
キング(王)は海外でも日本でも、絶対的な支配権を持つ存在。
その微妙なニュアンスの違いは、日本人にはなかなかつかめないところでしょう。
しかし、いずれにしても他の人物札の人物に比べると圧倒的なパワーを持ち、有無を言わせない権力を持つ偉大な人物であることは確かです。
コートカードにもストーリー性がある
ウェイト版やマルセイユ版のタロットだと、小アルカナのコートカードはそのスートを象徴するアイテムを持った人物が馬に乗ったり座ったりしている様子が描かれているだけ。
そこから何かストーリーを読み取ることは、カードに慣れるまではなかなか難しいでしょう。
しかし、インナーチャイルドカードではコートカードにもおとぎ話を想起させるイラストが描かれています。
例えば、ハートのチャイルドは「ゴルディロックスと3匹の熊」です。
ゴルディロックスと3匹の熊とは、イギリスに伝わる童話で、そのタイトル通り、ゴルディロックスという女の子と3匹の子熊の物語。
簡単に言うと、ゴルディロックスが留守中の熊の家に迷い込み、熊のものとは知らずにおかゆを食べたり椅子に座ったり(壊してしまうのですが)、挙句の果てにはベッドで眠ってしまったりするストーリーです。
一つのおかゆは熱くて食べられず、もう一つは冷たい、そして3つ目はちょうど良い。
一つのめの椅子は大きい、二つ目もまだ大きい、三つ目はちょうど良い。(座ったら壊れてしまいました。)
一つのベッドはカタくて寝心地が悪い、もう一つは柔らかすぎる、そして3つ目はちょうど良い。
…最終的には熊の一家が帰ってきて、「おかゆがない!」「椅子が壊れている!」と子供たちが大騒ぎ。
ゴルディロックスは飛び起きて逃げ帰る…。
そんなストーリーで、正直なところ「で?」「何が言いたかったの?」と言いたくなってしまうような物語ですが、イギリスの子供たちの間ではとても人気のある童話なのだとか。
深く分析すると、
・「おかゆの温度、椅子のサイズ、ベッドの固さ…これらに象徴されるように、何事も極端すぎるものよりも中庸が良い」
・「人は結局、真ん中のものを選ぶ」
というメッセージとも受け取れます。実際、心理学にも「ゴルディロックス効果」という理論があり、人は高い物でも安いものでもなく「中間くらいのものを選ぶ傾向がある」ことが明らかになっているのです。
インナーチャイルドカードにおぃて各スートのチャイルドは「愚者の旅の小さい版」と位置付けられていますが、まさにゴルディロックスはこの小さな冒険を通じて人間に共通する心理を学んだのだと言えるでしょう。
このカード1枚からでも様々なメッセージを受け取れるので、オラクルカードのようにも使えるかもしれませんね。
まとめ
インナーチャイルドカードの小アルカナについてご紹介しました。
一般的なタロットカードのように、インナーチャイルドカードでも小アルカナは4つのスートで構成されています。
特にコートカードは呼び方が違うので最初は戸惑うかもしれませんが、一枚一枚に物語があるので、一般的なタロットよりもリーディングしやすいと思います。
「タロットは小アルカナの解釈が難しい」という声を多く耳にしますが、そういう方にこそ手に取ってほしいカードです。
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