インナーチャイルドカードは、タロットカードでありながら「絵本」のようでもある不思議なタロットです。
では、なぜ「おとぎ話」が必要なのでしょうか?
あえてタロットとおとぎ話をリンクさせた目的とは?
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
そもそも、「おとぎ話」とは?
あなたは、「おとぎ話」というとどんな話を思い浮かべますか?
桃太郎、赤ずきん、かぐや姫、ヘンデルとグレーテル、三匹の子豚…等々、人によって様々でしょう。
おとぎ話は漢字にすると「お伽話」となり、「伽」とは、「退屈を慰める話し相手」という意味があります。
かつては、身分の高い人の退屈しのぎのような意味もあり、貴人の側近に仕えて雑談の相手をする人を意味して「伽」と表現していたようです。
それが次第に「創作」の意味が強くなり、子供たちに聞かせる童話のような位置づけになったというわけ。
少々乱暴な表現をすれば「暇つぶし」の雑談なのですが、そこには人生を生き抜いていく上で役立つ知恵、教訓が含まれていることも多いですよね。
例えば「桃太郎」には「チームワークの大切さ」「悪いことをすれば罰せられる」といった社会生活の非常に基本的なメッセージが込められています。
こういったおとぎ話は日本のみならず世界中に存在しており、インナーチャイルドカードはまさにその「世界のおとぎ話」を詰め込んだタロットカード。
知っている話もあれば初めて聞く話もあり、一冊の「おとぎ話集」として楽しめるというのもこのカードの魅力と言えるでしょう。
なぜおとぎ話なの?
まず第一に、人は「物語(ストーリー)」を好む生き物です。
例えば、ものすごく偉そうで横暴な態度の政治家を想像してみてください。
人に対しても不愛想で、「なんでこんな人が当選したんだろう」と思うような人物。
しかし、もしその人に、
「実はものすごく苦労人で、恵まれない幼少期を送った。しかし、自身の体験を通じて、同じような不遇な子供を一人でも減らしたいという強い使命感から政治家を志した」
こんな過去があることを知ったら、少し見る目が変わるのではないでしょうか?
あるいは、「ものすごく犬が大好きで、プライベートでは犬の保護活動をしている」なんてストーリーがあったら…、それまでのイメージが180度変わることだってあるでしょう。
このように、人はストーリーに弱いのです。
誰かのことを理解する際、ストーリーがあるかないかでその人の印象は大きく変わります。
同じように、自分自身について理解を深める際にもストーリーが必要です。
漠然と「自分探し」「本当の自分を見つける」と言われても、どうしたら良いのかわかりませんよね。
しかし、そこに何かしらのストーリーがあればその上に自分の姿を投影させることができ、自己理解もスムーズになるでしょう。
タロットで描かれているのは、あなた自身の物語
インナーチャイルドカードに描かれているおとぎ話の世界は、実はあなた自身の人生の物語でもあります。
例えば「赤ずきんちゃん」を例に挙げてみましょう。
赤ずきんちゃんは、その名の通り赤いずきんを被った少女の物語。
母のお使いで、病気の祖母の家に向かいますが、その道中で悪いオオカミに遭遇します。
オオカミにそそのかされて寄り道をしている間に、オオカミは先回りして祖母の家に向かい、なんと、祖母を飲み込んでしまうのです。
何も知らずに祖母の家にやってきた赤ずきんは、祖母に成りすましたオオカミに疑問を抱きますが、最初は気づきません。
そしてそうこうしている間に、赤ずきんまで飲み込まれてしまう…、そんな恐ろしい童話です。
最終的には近くを通りかかった漁師がオオカミの腹から二人を救出しますが、小さな子どもにとってはけっこう衝撃的なストーリーですよね。
しかし、よくよく考えてみれば、似たような出来事は私たちの日常にもあふれています。
例えば、おつかいの途中で知らないおじさんに声をかけられて、お菓子につられて車に乗ってしまうとか。
大人になってからでも、SNSで知り合ったよく知らない相手の家について行ってしまったために命を落とすことになってしまったという事件は日本でも数多く発生しています。
つまり、インナーチャイルドカードの1枚1枚で描かれているおとぎ話の世界は、実は私たちの現実世界の出来事と密接にリンクしているというわけです。
インナーチャイルドカードだからこそできること
一般的なタロットカードの「0」には、今にも落ちてしまいそうな崖っぷちをのほほんとした表情で歩いている若い男性が描かれています。
その足元では犬がけたたましく吠えていて、「ちゃんと足元を見たほうが良いよ!」と警鐘を鳴らしているようです。
カードの意味を知れば、そこからさまざまなことを連想できるかもしれませんが、このカードを見ても「イマイチ、何も思い浮かばない」という方も多いでしょう。
解説書を見ればわかるかもしれませんが、いきなりカードを見ただけでは、そこから何か教訓やメッセージを受け取るのは難しいと感じるかもしれません。
その点、赤ずきんちゃんは私たちが子供の頃から慣れ親しんできた童話であり、だいたいのストーリーを知っています。
それゆえ、カードからのメッセージも受け取りやすいでしょう。
ある人は、「人生は冒険だ」というメッセージを受け取るかもしれませんし、ある人は「良い人そうに見えても、人にはみな二面性がある」ということに着目するかもしれません。
またある人は、赤ずきんちゃんがオオカミのお腹から解放されたことと、「0 愚者」のテーマである「自由」や「解放感」とを重ね合わせて解釈するでしょう。
いずれにしても、そこになじみ深い物語の世界が描かれていることで、私たちはタロットの世界に自分自身をの物語を投影しやすくなります。
これは、インナーチャイルドカードならではの魅力と言えるでしょう。
まとめ
インナーチャイルドカードとおとぎ話の関係についてご紹介しました。
心理学の世界では「人は物語を生きる」という言葉があります。(ユング心理学で有名な河合隼雄先生の著書タイトルにもなっています)
どこか遠くの国のおとぎ話も、登場人物を入れ替えて見ればあなたにとってとても身近な「日常あるある」になるでしょう。
インナーチャイルドカードに触れることで、まさにそんな「あるある」な日常に改めて目を向けることになり、新たな気づきや発見、教訓を得ることができるはず。
「普通のタロットカードだと、どうもリーディングがうまくできない」という方でも、インナーチャイルドカードであればすんなりとメッセージを受け取れるかもしれません。
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