インナーチャイルドカード講座9回目の今回は、裸の王様~皇帝~についてのお話をしていきます。
インナーチャイルドカードの大アルカナ 5枚目は「裸の王様」です。
ウェイト版のタロットにおける5枚目(4)は「皇帝」で、「リーダーシップ」や「権力」がメインテーマとなっています。
では、裸の王様と皇帝の間にはどのような共通点があるのでしょうか?
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
『裸の王様』とは?
『裸の王様』は、デンマークに伝わるアンデルセン童話です。
日本では、「批判を受けないため、本当の自分のことがわかっていない傲慢な権力者」をたとえる時に「裸の王様」と表現したりしますね。
実際の物語がどんなストーリーだったか…忘れてしまった方のために、おさらいしてみましょう。
あるところに、服が大好きな王様がいました。
ある日、珍しい服を作ることができるという男が訪ねてきて、「ふさわしくない地位についている人や、馬鹿な人には見えない布」で服を作ることを提案します。
王様はその布で服を新調することにしたのですが、服屋を視察に行った家来にはその布が全く見えません。
しかし、見えなかったとは言えないため、王様には「大変すばらしい布でした」と報告してしまいます。
いよいよ服が完成し、王様の手元に運ばれてきましたが、王様には全く見えません。
しかし、やはりそこでも「見えない」とは言えないため、満足げにその服を着て、街でパレードまで行ったのです。
周りの人たちも、自分が馬鹿だと思われるのは嫌ですから、誰も「見えない」とは言えませんでした。
この同調圧力…大人ならばわかると思います。しかし、一人の子供が正直に、見たままを言ってしまいます。
「王様は裸だ」と。
そう、実はその服職人は詐欺師で、そんな特別な布など最初から存在していなかったというオチ。
王様は見栄を張ったばかりに、とんでもない恥をかくことになってしまったのです。
このようなストーリーから、「裸の王様」は「周りからの意見を耳に入れない結果、本当の自分がわかっていない権力者」のたとえとして使われるようになったというわけ。
タロットカード「皇帝」との共通点は?
裸の王様と「皇帝」に共通しているのは、絶対的な「権力」を持つ人物だということです。
ウェイト版タロットの皇帝は、右手にはエジプト十字がついた笏を持ち、左手には地球を意味する珠を乗せています。
つまり、世界をこの手に収めるほどの野心を持っている人物だということ。
西洋占星術ではおひつじ座に対応しているとも言われていて、一つの目標に向かって猪突猛進に突き進んでいくエネルギッシュな人物であることを表しています。
また、このカードに与えられている「4」という数字は「安定」や「基盤」を表す数であり、この人物が盤石な基盤を築いてのし上がっていく様を想像することができるでしょう。
ウェイト版タロットの皇帝は、とても力強く、圧倒的なリーダーシップを感じさせる人物。
しかし、インナーチャイルドカードに描かれている裸の王様は、とても滑稽な姿で描かれています。
一見、正反対のように見えますが、ウェイト版の皇帝も一歩間違えれば裸の王様になってしまう可能性は否定できないでしょう。
このカードには、その可能性が強く示唆されているのです。
目に見えるもの、目に見える豊かさへのこだわりが強くなればなるほど、人は本当に大切にするべき本質を見失います。
見たいものしか見ようとしないことがどれだけ愚かで危険なことであるか。
インナーチャイルドカードの裸の王様は、この情けない姿をさらすことによって私たちに警鐘を鳴らしているとも受け取れるのです。
あなたにとっての「権力」とは?自分を知るための問いかけ
インナーチャイルドカードは、単なる占いのツールではありません。
今の自分や過去の自分と向き合い、未来につながるような気づきや癒しを得るツールです。
ですから、出たカードにじっくり向き合うことが大切です。
そして、さらに自己理解を掘り下げるための「問いかけ」や「アファメーション」の言葉が与えられています。
『裸の王様』の場合は、
★問いかけの言葉①:「私が権力や豊かな財産を持っていたら、どのように使いますか?」
⇒「権力」は、扱い方を間違えるとすべてを失ってしまうほど危険な要素をはらむものです。
権力や富の前では”素”の姿が露呈してしまいます。
普段、どんなに謙虚な人であっても、権力と富を前にしたらどうしたって欲は出てしまうでしょう。
しかし、それは決して悪いことではありません。
何かを強く望む心、「欲しい」と思う貪欲さがあるからこそ、人類はここまで発展・拡大してきたのです。
大事なことは、自分の中にそのような欲望があることを否定しないこと。隠そうとしないこと。
まずは本当の自分と向き合い、自分という人間の貪欲さと向き合いましょう。
★問いかけの言葉②:「真の”権威”とはどのようなことだと思いますか?」
⇒素晴らしい功績を残した人が、不倫などで世間を騒がせることがあります。
ちょっとした油断。誘惑に抗えなかった弱さが命取りになる…そんな事例は挙げればキリがないくらいあるでしょう。
これはまさに「裸の王様」に通じる話で、権威がある人物であっても自らの「欲」の前ではとても無力です。
見えないものを「見える」と言ってしまったり、知らないことを「知っている」と言ってしまったり。
ある意味、それはとても人間らしくてかわいらしいことですよね。
「権威」とは、「優れた者として他人を威圧して自分に従わせる威力」ですが、ある意味では周りの人が勝手にその人に与える「仮面」やコスチュームのようなものなのかもしれません。
「権威のある人」「~の分野の権威」と呼ばれる人であっても、中身は子供の頃から全く変わっていないということもあるでしょう。
それだけ、「権威」という言葉は曖昧で抽象的なものです。
あなたにとって「権威」とはどんなことでしょうか?
世間に流されない価値観、判断軸を持ち、その軸に照らして人を見極めていくことが大事なのかもしれませんね。
「真実」を見失わないで
『裸の王様』では、「真実」が大きなテーマとなっています。
一体、真実とは何でしょうか?
あなたは、目に見えている真実を信じることができていますか?
もし、裸の王様の家来だったとしたら、「布なんて見えません」と正直に言えたでしょうか?
それとも、まやかしの真実を信じたフリをしてしまうのでしょうか。
このカードには、「あなたの目に映っている真実を信じなさい」というメッセージも含まれています。
ゆえにこのカードには、次のようなアファメーションの言葉が与えられています。
(※アファメーションとは?…肯定的な自己暗示。自分で自分に前向きな言葉で魔法をかけることです。アファメーションを行うことで、幸せな未来を引き寄せやすくなると言われています。)
「権力と幻想と真実の違いを見極める能力は不可欠なものです。私は物質界と幻想の世界を切り離して考えます」
…こうだったらいいなあと夢を見ることはとても素敵なことです。
しかし、幻想ばかりを見ていては人は前には進めません。
ちょっと厳しいですが、目の前の現実から目を背けないこと。そこに”ある”ものの質感や手触りを自分で確かめること。
時にはツライこともあるかもしれませんが、確かに「ある」ものと「あるかないかわからないもの」とをごちゃ混ぜにしていては発展性がありません。
だからこそ、切り離す勇気が必要なのです。
このカードは、そのための強さを与えてくれるカードともいえるでしょう。
まとめ
インナーチャイルドカード 大アルカナ5枚目の「裸の王様」についてご紹介しました。
本来は尊敬される人物である王様が、このカードではとても情けない姿で描かれています。
しかし、ある意味では、彼は身を挺して人間の愚かさを人々に知らしめていたとも解釈できるでしょう。
彼は本当に貪欲だったのでしょうか?
もしかしたら、「人は身に着けるもので価値が変わったりしない」ということを身をもって証明しようとしていたのかもしれません。
どんな華美な衣装を着ていようと、裸であろうと、その人の真価は変わらないのですから。
目に見えることに囚われてしまうと、大切なことを見失ってしまうのだとこのカードは忠告しているのです。
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