インナーチャイルドカード講座10回目の今回は、魔法使い~法王~についてのお話をしていきます。
インナーチャイルドカードの大アルカナ 6枚目は「魔法使い」です。
ウェイト版のタロットにおける6枚目(5)は「法王」で、「知恵」や「倫理」「尊敬」がメインテーマとなっています。
では、魔法使いと法王の間にはどのような共通点があるのでしょうか?
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
この「魔法使い」は誰?
あらゆる童話に「魔法使い」は登場します。
一言で「魔法使い」と言っても、どの魔法使いのことかわかりませんよね。
インナーチャイルドカードに登場する魔法使いは、『ロードオブザリング』(指輪物語)に登場する魔法使い、ガンダルフを表しています。
ガンダルフは、主人公・フロドを旅へといざなった人物。
豊かな白いひげがトレードマークであり、「賢者」の風格と圧倒的な存在感を放つ存在です。
実はガンダルフは人間ではなく、西の海の果ての神々の国・アマンからやってきた「精霊」。
「アイヌア」という神に近い種族で、その中でも最も聡明な者…という設定です。
光と炎を操る魔法を使うことができ、人物像としても炎のように激しく、熱く、明るく、そして温かい人物として描かれてます。
さて、『指輪物語』自体がどんなストーリーか知らない…という方のために、簡単に内容をご紹介しましょう。
『指輪物語』は、「中つ国」と呼ばれる世界で起こった指輪戦争について書かれたお話。
悪の冥王・サウロンが、世界を征服するという野望のために強力な魔力を持つ指輪を作り、中つ国を支配しようとしました。
しかし、多くの抵抗によって失敗し、サウロンは肉体と指輪を失います。
指輪は長い時を経て、フロドの養父・ビルボの手に渡ります。
ビルボは、かつて、サウロンと戦って世界の破壊を阻んだという経歴があります。
その時の仲間が、魔法使い・ガンダルフです。
再び復活し、世界征服をたくらむサウロンの完全復活を妨げるには、指輪を「滅びの山」の火口に投げ入れ、完全に破壊してしまうしか方法がありません。
そこで、年老いたビルボの代わりにその役目を担うことになったのが、フロドです。
彼は、親友のサムやメリー、ピピンと共に指輪を完全に廃棄するための旅に出た…というわけです。
サウロンからの刺客と次々に遭遇し、その旅は決して容易なものではありませんでした。
しかし、最終的には、フロドは最後の力を振り絞って指輪を葬ることに成功します。
ちなみに、この指輪には、「一度でも所持したものは、一生消えない心の傷を負う」という怖いジンクスもあります。
手放した後も、その誘惑に取りつかれてしまうという、存在するだけで魔力を発揮する指輪だったというわけです。
現代を生きる私たちも、一度手に入れた冨や地位から逃れられないということがありますよね。
この指輪は、誰もが心の中に持っているドロドロしたものを象徴しているかのようです。
タロットカード「法王」との共通点は?
インナーチャイルドカードにおける「魔法使い」も、タロットカードの「法王」も、「メンター(精神的な面で師となる存在)」であることは共通しています。
一つ前のカード「皇帝」は絶対的な権力を持つ人物であり、物質界を統治する存在でしたが、法王は精神的な面で人々を導く存在。
どんな場面でも心を乱すことなく、人々に神の教えを説き続ける存在として描かれています。
指輪物語で象徴的なのは、主人公たちの敵が「外側からやってくる敵」ばかりではなかったということ。
人の内側に潜む「悪」との闘いも強いられていたという点であり、自分自身に打ち勝つことでしか前に進めないという過酷さを秘めていたのです。
これは、指輪物語に限らず多くのおとぎ話で描かれているテーマですよね。
私たちの日常生活でも、なにかを成し遂げようと思えば自分の中にある怠慢や弱さに打ち勝って自分自身を奮い立たせなければなりません。
そんな時、すぐ近くで温かく見守り、時にハッとする言葉で教え導いてくれる存在がいれば安心して挑戦を続けることができるでしょう。
法王、そして「魔法使い(ガンダルフ)」は、まさにそのような存在。
決して傲慢になったり自分の得を求めるようなことはありません。
そこにはいつでも、深い慈愛の精神があります。
あなたにとっての「メンター」は誰?
インナーチャイルドカードは、単なる占いのツールではありません。
今の自分や過去の自分と向き合い、未来につながるような気づきや癒しを得るツールです。
ですから、出たカードにじっくり向き合うことが大切です。
そして、さらに自己理解を掘り下げるための「問いかけ」や「アファメーション」の言葉が与えられています。
『魔法使い』の場合は、
★問いかけの言葉①:「私を導いてくれるメンターや師匠は誰ですか?」
⇒あなたにとっての「魔法使い」は誰でしょうか?
身の回りの人物を思い浮かべてみてください。
損得勘定に流されず、あなたをいつも温かく見守って導いてくれる人。
誰にでも、一人はそのような存在がいるのではないでしょうか。
それは両親かもしれませんし、先生や先輩、あるいは上司かもしれません。
そんな存在が一人いるだけで、挫折から這い上がることもあるでしょう。
行き詰まった時にふと会いたくなる相手、その人こそがあなたにとってのメンターです。
★問いかけの言葉②:「私の魂を成長させるには、どんな修行の旅が必要でしょうか?」
⇒ロードオブザリングは、主人公フロドの成長の物語でもあります。
幾多の困難を乗り越えて目的を果たした彼は、その旅を通じて一回りも二回りも強く、たくましく成長したことでしょう。
もちろん、そこにメンターの存在があったことも確かです。
メンターは、ただ人を甘やかす存在ではありません。
むしろ、時には厳しい試練を与えることで成長の機会を授けてくれます。
もしかしたらあなたも、今まさにそんな旅の途中かもしれませんね。
そうだとしたら、その旅からあなたは何を学んでいるでしょうか?
最終的にどうなりたいのか?
「ゴール」を見失わないためにも、「旅を終えた後」の自分の未来像に想いを馳せることも大事です。
★問いかけの言葉③:「仲間との絆を強くするためにはどうすれば良いですか?」
⇒この物語では、「仲間」との絆も大事なテーマとなっています。
何か大きなことを成し遂げようとするとき、メンターと同じくらい心の支えになるのが、志を共にして切磋琢磨する仲間の存在。
フロドにとってのサムのような存在が、あなたにはいますか?
もしいるならば、その人との絆を大事にしましょう。
困難を乗り越えたという記憶は、二人の絆を強力にしてくれます。
そして、相手のために今の自分に何ができるかを考えてみましょう。
「メンター」は私たちの内側にも存在する
『ロードオブザリング』では、「新しい自分」も一つのテーマとなっています。
魔法使い・ガンダルフは、燃え盛る谷底へと落ちて肉体を失いましたが、消滅する寸前にレベルアップして復活しました。
同じようにフロドも、この旅を通じて全く新しい自分への変容を遂げたと言えます。
苦しい旅ではあったものの、愛や勇気、希望を失わない強さを手に入れたのです。
そしてそれは、彼が自分の中の「善」と「悪」から逃げずに向き合い続けたからであると言っても過言ではないでしょう。
ゆえにこのカードには、次のようなアファメーションの言葉が与えられています。
(※アファメーションとは?…肯定的な自己暗示。自分で自分に前向きな言葉で魔法をかけることです。アファメーションを行うことで、幸せな未来を引き寄せやすくなると言われています。)
のカードには、「あなたの目に映っている真実を信じなさい」というメッセージも含まれています。
「私は心を落ち着かせてハイヤーセルフからの声を聴きます。私は物質界に隠された神聖なものを探す探求者です」
ハイヤーセルフとは、「高次元の自分自身」を意味するスピリチュアル用語です。
少し高いところから私たち見守っている、「自分自身の魂の一部」。
そう、つまり私たちは、自分の内側にも「メンター」を備えているのです。
普段はなかなかその存在に気づくことはないかもしれませんが、ハイヤーセルフとつながることによっていわゆる「ゾーンに入った」という状態になり、あなたの中に眠る素晴らしい才能が花開きます。
直感や判断力も冴えるので、あらゆる迷いを断ち切って人生を前に推し進めることができるでしょう。
自分軸を強く持ち、誰のものでもないあなただけの人生を生きられるようになるはずです。
まとめ
インナーチャイルドカード 大アルカナ6枚目の「魔法使い」についてご紹介しました。
「魔法使い」は必ずしも外部に存在するわけではなく、私たちの内側にも存在しています。
その魔法使いとつながるためには、とにかく目の前のことにひたむきに取り組むことが大事です。
フロドは戦いの旅に出ましたが、現代を生きる私たちにとっては日々の生活の全てが「旅」であり「戦い」だと言っても過言ではありません。
日常の些末なことの一つ一つに真摯に向き合い続けることが、のちに大きな道を切り開くことにつながっていくのです。
過去を悔やまず、未来を過度に案ずることなく、「今」に向き合うことを大切にしましょう。
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