インナーチャイルドカード講座11回目の今回は、ヘンゼルとグレーテル~恋人たち~についてのお話をしていきます。
インナーチャイルドカードの大アルカナ 7枚目は「ヘンゼルとグレーテル」です。
ウェイト版のタロットにおけ7枚目(6)は「恋人たち」で、「自分と他者の関係」や「幸せな関係」、「人間関係における選択」がメインテーマとなっています。
では、ヘンゼルとグレーテルと恋人たちの間にはどのような共通点があるのでしょうか?
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
ヘンゼルとグレーテルってどんな話だった?
ヘンゼルとグレーテルは、グリム童話に出てくるお話。
簡単に言うと、ヘンゼルととグレーテルという兄と妹の冒険ストーリーです。
「どんな話だったか忘れてしまった…」という方のために、ストーリーを簡単におさらいします。
彼らは貧乏な木こりの子供。木こり(父)と継母と4人暮らしをしていました。
しかしある時、継母の陰謀で森に置き去りにされてしまいます。木こりの家はとても貧しく、いわゆる「口減らし」のために捨てられたのです。
もちろん、木こりは積極的にそうしたかったわけではなく、継母に押し切られるような形で承諾したのですが…。
実はヘンゼルとグレーテルは、自分たちが捨てられてしまうことを事前に知っていました。
親たちの話をこっそり聞いていたのです。
そこで、兄はポケットに小石を、妹はエプロンにパンを忍ばせて出かけました。
家から森の真ん中までの道のりがわからなくならないように、小石を一つずつ捨てながら歩いて行ったのです。
そんなこととは知らない親たちは、森の真ん中に火を焚き、「後で戻ってくるから、森で木を切るんだよ」と言い残して家に戻ってしまいます。
結局、二人は小石をたどって家に戻ったため、継母の計画は失敗に終わりました。
しかし、2回目はそうはいきませんでした。
今回は、あらかじめ小石を拾っておくことを阻まれてしまったため、パンを目印にしようとしました。
しかし、鳥に食べられてしまったのです。
帰り道がわからなくなり途方に暮れるヘンゼルとグレーテルでしたが、森の中でお菓子の家を見つけます。
そこに住んでいたのは、親切なふりをした意地悪な魔法使い。
子供を太らせて食べる…というのがこの魔法使いの密かな楽しみでした。
囚われの身になってしまった二人でしたが、グレーテルが知恵を働かせて魔女を焼き釜に入れることに成功し、魔女はみじめに焼け死にます。
命からがら逃げだした二人。
とうとう二人は自宅に帰ることに成功します。
帰宅すると継母は病気で亡くなり、子供を捨てたことを悔やんでいた父親が一人で暮らしていました。
彼らはようやく、幸せな時間を取り戻したのです。
タロットカード「恋人」との共通点は?
インナーチャイルドカードにおける「ヘンゼルとグレーテル」も、タロットカードの「恋人たち」も、描かれているのは「男女の統合」。
二人は兄と妹であって恋人同士ではありませんが、そこに「男性性」と「女性性」のテーマが描かれているという点では「恋人たち」と重なります。
ものすごくざっくりとまとめてしまうと、これは男女が協力して悪を倒し、「愛の巣」に帰るというテーマ。
二人は魔女の陰謀によって引き離されそうになりますが、知恵と信頼の絆で勝利を勝ち取り、最終的には「統合」を果たして幸せな生活を取り戻すのです。
これはまさに、「恋人たち」のカードにも重なる「愛」のテーマですね。
また、タロットカードの「恋人たち」のカードでは、遠方に険しい山がそびえたっていることから「二人の行く末には困難が待ち受けている」という意味があります。
描かれている男女はアダムとイブであり、禁断の知恵の実を食べてしまうことによって楽園から追放されてしまうという解釈も。
一方、ヘンデルとグレーテルで二人の前に描かれているのは、お菓子の家。
一見すると楽園のように見えますが、実はタロットと同じようにこれから訪れる困難を象徴しています。
このように、どちらのカードも、そこに込められているのは「困難を乗り越えてこそ、真実の愛に至ることができる」というメッセージなのです。
心から愛せる人に出会うことはとてもHappyなことですが、「それだけじゃないぞ」「結ばれるには試練もあるぞ」というちょっと厳しめのお告げも含まれたカードなんですね。
あなたの中に潜む「男性」と「女性」
インナーチャイルドカードは、単なる占いのツールではありません。
今の自分や過去の自分と向き合い、未来につながるような気づきや癒しを得るツールです。
ですから、出たカードにじっくり向き合うことが大切です。
そして、さらに自己理解を掘り下げるための「問いかけ」や「アファメーション」の言葉が与えられています。
『ヘンゼルとグレーテル』の場合は、
★問いかけの言葉①:「あなたの中に、男性性と女性性は共存していますか?そのバランスは?」
⇒誰の中にも、男性的な面もあれば女性的な面もあるでしょう。
ヘンゼルとグレーテルも、妹をいたわるヘンゼルはとても女性的ですし、逆に兄を助けたグレーテルはとても勇敢で男らしい。
どちらも、「男性であり、女性でもある」という存在です。
それは私たちも同じ。
昨今はLGBTがよく話題になりますが、本当は誰の中にも両方の性が存在しているのではないでしょうか。
★問いかけの言葉②:「私が人間関係の調和をとるにはどうすれば良いでしょうか?」」
⇒ヘンゼルとグレーテルでは、人と人が力を出し合って一つのゴールにいたることの尊さも表現されています。
「恋人たち」という恋愛メインのカードのように思われるかもしれませんが、実際は「人間関係」全般を表すカードなので、
人間関係についての振り返りや見直しをしたい時にもこのカードが何かヒントをくれるでしょう。
自分がヘンデルの立場だったら?グレーテルだったら?どう行動するだろうか。また、どう行動するのが理想的なのか。
物語の登場人物に自分を当てはめて考えてみると、自分自身の人間関係における行動のパターンなども見えてくるかもしれませんね。
「真実の愛」とは?どこにあるの?
『ヘンゼルとグレーテル』では、言わずもがな「愛」が一つの大きなテーマとなっています。
「真実の愛」とは、一体どのようなものでしょうか。
自分の子供なのに、継母に押し切られて森の中に二人を置き去りにしてきた父親の愛は、果たして「本当の愛」と言えるのか。
そんなことをされたにも関わらず、父親を信じて戻ってきた子供たちの愛のほうが、むしろ「真実の愛」なのではないか?
子供はなぜ、そこまで親を信じるのか。
また、恐ろしい魔女を焼き殺す…なんてことをやってのけたグレーテルの兄への「愛」は、父親の愛よりも強かったのではないか?
…「愛」という切り口で切り取ると、様々な発見や疑問が湧いてくるカードでもあるでしょう。
ゆえにこのカードには、次のようなアファメーションの言葉が与えられています。
(※アファメーションとは?…肯定的な自己暗示。自分で自分に前向きな言葉で魔法をかけることです。アファメーションを行うことで、幸せな未来を引き寄せやすくなると言われています。)
のカードには、「あなたの目に映っている真実を信じなさい」というメッセージも含まれています。
「私は愛が無条件であることを信じています。私は愛の幻想を変化させ、真実の愛と最高の美徳を受け入れます」
愛とは、時にこの「お菓子の家」のように無慈悲なものです。
甘い幻想を抱いて近づくと、時にはひどい裏切りに遭うこともあるでしょう。
しかし、それでも私たちは、甘い”お菓子の家”の誘惑に勝てないことがあります。
何度騙されても裏切られても、そこに「真実の愛」があると信じたい気持ちがあるのかもしれません。
しかし、「真実の愛」とは一体なんでしょうか?
そんなものはどこにもありはせず、結局は自分たちで作っていくしかないのかもしれません。
まとめ
インナーチャイルドカード 大アルカナ7枚目の「ヘンゼルとグレーテル」についてご紹介しました。
二人が求め続けたものは、家があり、食べるものがあり、父がいて、兄や妹がいるという「当たり前」の日常。
しかし、その幸せを取り戻すのは容易なことではありませんでした。
この物語で描かれているように、「何気ない日常」ほど尊いものはありません。
このカードは、「愛」が大きなテーマとなっている一方で、そんな「当たり前の幸せ」の尊さに気づいて!というメッセージもあるのではないでしょうか。
とかく、私たちはどこかドラマティックで「特別な」幸せを求めてしまいがち。
しかし、本当に難しいのは当たり前の日常を、当たり前のように継続することなのかもしれません。
大切な人は、ずっと近くにいてくれることが「当たり前」ではないのです。
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