インナーチャイルドカード講座13回目の今回は、美女と野獣~力~についてのお話をしていきます。
インナーチャイルドカードの大アルカナ 9枚目は「美女と野獣」です。
ウェイト版のタロットにおける9枚目(8)は「力」で、「精神力」や「意志の力」、「困難の克服」などがメインのテーマとなっています。
では、美女と野獣の物語と「力」の間にはどのような共通点があるのでしょうか?
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
「美女と野獣」とは?
美女と野獣は、ディズニー映画でも大人気ですよね。
ざっくりと言ってしまえば美女と野獣が恋をして結ばれるストーリーで、現実でもちょっと不釣り合いに見えるカップルを表現する時にこの言葉を使ったりします。
そもそも、美女と野獣とはどのような物語なのか。
「どんな話だったかよく知らない…」という方のために、ストーリーを簡単におさらいします。
主人公のベルは、お金持ちの商人の娘。しかし、ある時、父親は船が難破して財産を失ってしまいます。
一家は田舎の別荘で暮らし始めました。
姉2人は田舎暮らしにうんざりしている姉たちとは違って、ベルはせっせと真面目に働いていました。
1年を過ぎた頃、失ったはずの財産が奇跡的に発見されましたが、結局、様々な訴訟に巻き込まれて財産を手に入れることはできませんでした。
その帰り道、雪で立ち往生した父親は大きな城を見つけます。
誰もいないように見えるのに、暖炉には火が灯っており、一人分の食事も用意されていました。
父親はこの城で一晩を過ごし、翌朝、敷地内で見つけた薔薇を一輪折ってしまいます。
なぜなら、娘・ベルが「薔薇の花が欲しい」と言ったことを思い出したからです。
しかし、突然、父親の前には恐ろしい野獣が現われます。
「大事な薔薇を盗んだな。お前の命で弁償しろ!」と迫ってきました。
父親は「どうか命だけは」と懇願しましたが、「お前の命か、娘の命を差し出せ」と要求するのです。
家に帰って事情を話すと、ベルは父親の代わりに城に行くと言ってききません。
父親は反対していましたが、結局は彼女の気持ちに押されて、二人で野獣の元に向かうことに。
ベルを差し出すと、野獣は父親だけを家に帰しました。
その後、恐怖に震えているベルに、野獣は言いました。
「怖がらなくて良い。この城はあなたの城だ。食べる物も欲しい物も勝手に出てくるから、楽しく暮らしなさい」
実際、そこでの暮らしはとても豊かで、野獣は見た目に反してとても優しい男でした。
次第に、野獣に心をひらいていくベル。
そんなある日、遠くのものを見ることができるという不思議な鏡で家の様子を見たベルは、父親が病気で寝込んでしまっていることを知ります。
「一度で良いから家に帰らせてほしい」
と野獣にお願いして帰宅したベル。娘の姿を見て安心したのか、父親の病気はたちまち回復しました。
ただ、贅沢な暮らしに嫉妬した姉たちは、ベルを野獣の元に帰さないと言いました。
1週間が過ぎ、10日も過ぎた頃、ベルは野獣の夢を見ます。
死にそうにあえいでいる彼の夢を見て胸騒ぎを覚えたベルは、野獣の城へ。
するとそこには、本当に倒れ込んでいる野獣がいました。
ベルが涙を流しながら、「あなたは死んではいけません。私はあなたを愛しています。あなたはずっと生きて、私の夫になるのです」
そう声をかけた瞬間、野獣は美しい王子の姿に!
彼は、かつて魔女の手によって野獣の姿に変えられてしまい、心から愛してくれる人が現れなければその魔法は解けなかったのです。
王子はベルと共に自分の国へ帰り、ベルを妃にして幸せに暮らしました。
タロットカード「力」との共通点は?
ウェイト版のタロットでは、女性が不思議な力でライオンを飼いならしている様子が描かれています。
それは決して力業ではなく、愛や優しさによって獰猛なライオンを従わせているのです。
そこにあるメッセージは、「人を動かすのは、権力や厳しさではなく、大きな愛である」といったところ。
まさにその姿は「美女と野獣」にピッタリ当てはまるように見えるので、「なるほど、この2枚が重ね合わせて考えられるのは納得できる」と思うでしょう。
しかし、このカードが伝えたいことはそれだけではないのです。
野獣に変えられてしまった王子は、実はかつて、寒さと病気で苦しむ魔女を”見た目”で判断し、助けることを拒んでしまったことがあるのです。
「助けてほしい」と懇願されたのに、それを拒否したため、野獣の姿に変えられた…という苦い過去があったんですね。
そこには、「外見や身分で判断されることがどれだけ苦しいことか、身をもって知りなさい」というメッセージがあったのでしょう。
外見に囚われない、本物の愛に出会うことが、この王子に課せられた試練であり人生の課題だったのです。
それまで恵まれた環境で生きてきた彼は、きっと、魔女を外見や身分で判断してしまったのでしょう。
しかし、自分自身もまた”野獣”という姿にされてしまったことで、魔女と同じような苦しみを味わうこととなり、その過程で精神的に大きく成長し、人の痛みがわかるようになったのです。
タロットカードだけを見ると、愛を与えているのはあたかも美女のほうだけ…のようにも見えますが、実際の「美女と野獣」では野獣が愛を注いだからこそベルは心を開き、愛を伝えることができたのです。
そのような意味では、インナーチャイルドカードの画のほうが、物語の本質を表しているように見えますね。
あなたの中に潜む「男性」と「女性」
インナーチャイルドカードは、単なる占いのツールではありません。
今の自分や過去の自分と向き合い、未来につながるような気づきや癒しを得るツールです。
ですから、出たカードにじっくり向き合うことが大切です。
そして、さらに自己理解を掘り下げるための「問いかけ」や「アファメーション」の言葉が与えられています。
『美女と野獣』の場合は、
★問いかけの言葉①:「私は、外見に囚われずに人や物事の本質を見ることができていますか?」
⇒誰でも、「偏見」の目で人を見てしまうことがあると思います。
それはある意味では自分自身を防衛することにもなりますから、仕方がないことだと言えるでしょう。
しかし、同時に、内面に隠された「本当のその人」を見る努力も怠ってはいけません。
誰もが、外側にはあらわれないものを秘めて生きているのですから。
たとえ時間がかかったとしても、「隠された真実」を見つけ出すことを諦めないようにしましょう。
★問いかけの言葉②:「私は、愛の力か力の愛か、どちらのフォーカスしていますか?」
⇒「愛があれば権力なんていらない」「お金があっても、愛がなければ不幸な人生だ」
…ドラマなどで出てきそうなセリフですが、本当にそうでしょうか?
「権力」も「物質的なもの」も、一つの愛の形。
美味しい食事がベルや父親の心身を癒してくれたように、形あるものに「愛」を感じることもあるでしょう。
力を使って愛を表現することも、別に「ずるいこと」でも「きたないこと」でもないのです。
愛の力も、力の愛も、どちらも相手を大切に想う心から生まれる愛には違いありません。
「愛」は本当の自分を解放させてくれる魔法
『美女と野獣』では、言わずもがな「愛」が一つの大きなテーマとなっています。
最初は怖いと思っていた相手でも、その内面をよく知るうちにだんだん素敵な人に思えるようになってきた…。
これは私たちの日常でも「あるある」な現象ですよね。
ざっくりと言ってしまえば「恋は”見た目”じゃない」ということになりますが、最終的には「恋が人を美しく変身させる」というテーマとしても解釈できます。
ゆえにこのカードには、次のようなアファメーションの言葉が与えられています。
(※アファメーションとは?…肯定的な自己暗示。自分で自分に前向きな言葉で魔法をかけることです。アファメーションを行うことで、幸せな未来を引き寄せやすくなると言われています。)
「私はそれが愛であり、自分を解放してくれるのは純粋な愛のみであると理解しています」
「私はより多くの愛と奉仕を世界に提供することができます」
恋をして美しくなることは、ある意味では自分自身を「解放」させることなのかもしれません。
誰でも、「本当の自分」は、醜い魔女なんかじゃないし、獰猛な野獣なんかじゃない。
でもそれを証明するには、”愛”という魔法が必要…。
なんだかとても美しいし、ロマンティックなテーマですよね。
誰もがみんな、自分を美しい姫や王子に変えてくれる「運命の恋」を求めているのでしょう。
ディズニー映画の人気ランキングで上位にランクインするのも納得です。
まとめ
インナーチャイルドカード 大アルカナ9枚目の「美女と野獣」についてご紹介しました。
ロマンティックな恋愛物語…と言ってしまえばそれまでですが、「美女と野獣」には恋愛を超えた深い愛のメッセージがあり、「本当の愛」について多くの気づきを与えてくれる童話です。
お金や権力がなくても幸せではありますが、物質的な豊かさがあるからこそ人を守ることができるという面もあります。
それも、大事な「愛」の形。
心の目で真実を見ることは大事だけれど、同じくらいに肉体の目で物事を見ることだって大事です。
このカードが出た時は、目の前の相手の”本当の姿”が見えているかどうか、見る努力をしているかどうか、自問自答してみると良いでしょう。
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