インナーチャイルドカード講座16回目の今回は、ミダス王と金の手~正義~についてのお話をしていきます。
インナーチャイルドカードの大アルカナ 12枚目は「ミダス王と金の手」です。
ウェイト版のタロットにおける12枚目(11)は「正義」で、「バランス」「平等性」「判断力」がメインテーマとなっています。
では、ミダス王と正義の間にはどのような共通点があるのでしょうか?
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
「ミダス王と金の手」とは?
正直、「ミダス王」という名前すら初めて聞いた…という方も多いのではないでしょうか?
ミダス王とは、「王様の耳はロバの耳」に登場する王様です。
ミダス王は紀元前8世紀頃に古代アナトリア(現・トルコ)に実在した王様。
物語に何度も登場するほど、偉大で存在感のある王様だったのです。
「金の手」とは、彼が持つ「触れた物を黄金に変えることができる」という能力に由来するもの。
ミダス王はとても「金」が好きな人物であり、豊かになることに対して貪欲な王様だったのです。
そんなミダス王の庭に、ある日、ワインの神・ディオニュソスと半人半馬のシーレーノスが迷い込んできました。
ミダス王は、彼らを宮殿でもてなし、そのお礼としてディオニュソスは「なんでも願い事を一つ叶える」と申し出ました。
そこでお願いしたのが、
「触れた物全てを金に変え、より豊かになること」
だったのです。
触れた物が全て金に変わってしまうのですから、食べることも飲むこともできません。人を愛することもできないでしょう。
大好きだった薔薇も金に変わり、最愛の娘も金になってしまいました…。
彼は嘆き悲しみ、富を望むこと、この手の力がとても不吉なことだと気づきます。
そして、ディオニュソスの助言通りにパクタロス川で水浴びをし、その不思議な力を手放すことができたのです。
パクタロス川で砂金が取れるのは、このようなエピソードがあったからだと伝えられていますよ。
タロットカード「正義」との共通点は?
ミダス王のエピソードからもわかるように、人の欲望には際限がありません。
しかし、物質的に豊かになることが必ずしも「幸せ」ではないことも、ミダス王は教えてくれました。
触れたものすべてが金になるということは、「富を得ることで、大事な何かを一つずつ失っていく」とも捉えられますよね。
果たして、大切なものを失ってまで「富」にこだわる必要があるのか。
ミダス王は孤独の中で考え抜き、答えを出したのでしょう。
元々、ミダス王は毎日、自身が所有する財産を計算するくらい「富」に執着があった人物でした。
しかし、バランスを欠いてしまえば富は身を亡ぼす元凶となります。
私たちの生活に当てはめて考えてみれば、毎日休む暇もなく仕事ばかりをしていれば、お金はたくさん入ってくるでしょうが大切な人たちと過ごす時間は減ってしまいます。
結果的に心が離れてしまい、別れが訪れる…ということもあるでしょう。
「ワークライフバランス」と言う言葉がありますが、仕事と生活、お金と愛、思考と感情、自分と他者…私たちはありとあらゆる「バランス」を調整しながら生きているのです。
これはまさに、タロット「正義」のテーマに通ずるところ。
時にはそのバランスを崩してしまうこともあるでしょう。
このカードを引いたということは、あなたが自身が今まさに、生きる上での「バランス」の見直しを迫られているタイミングなのかもしれません。
ぜひミダス王の話を思い出してください。
あなたの天秤はバランスを崩していませんか?
インナーチャイルドカードは、単なる占いのツールではありません。
今の自分や過去の自分と向き合い、未来につながるような気づきや癒しを得るツールです。
ですから、出たカードにじっくり向き合うことが大切です。
そして、さらに自己理解を掘り下げるための「問いかけ」や「アファメーション」の言葉が与えられています。
『ミダス王と金の手』の場合は、
★問いかけの言葉①:「私はバランスを欠いていませんか?」
⇒ぜひ、改めて自分自身に問いかけてみましょう。
忙しい日々の中、私たちは、自分が上手にバランスをとっている「つもり」でいます。
しかし、何かがうまくいかないのは、たいていこの「バランス」が崩れているから。
そして、一度バランスが崩れ始めると連鎖的に他のバランスも崩れていってしまいます。
だから時々は、「私、今、バランスとれてるかな?」「仕事ばかりになってない?」「自分のことばかり考えてないかな?」と天秤の状態を確認することが大事なのです。
★問いかけの言葉②:「私は”感謝”を大切にして過ごせていますか?」
⇒私たちの中にある天秤のバランスが崩れてしまうのはなぜか?
一つの大きな原因として考えられるのは、あらゆるものへの「感謝」を忘れてしまうことです。
「感謝」が一つのものや人に偏り過ぎると全体のバランスは崩れます。
仕事ができるのは、自分を支えてくれる環境があるから。
逆に、仕事があるから生活を成り立たせることができます。
お金があるから大切な人を喜ばせることができるし、逆に大切な人がいるから仕事を頑張れる。
…だから、何事に対しても誰に対しても、”感謝”の気持ちを失わないことが理想的なあり方だと言えるでしょう。
「秩序」があるからあなたは「あなた」でいられる
『ミダス王と金の手』では、「秩序」も一つの大きなテーマとなっています。
触れた物がなんでもかんでも「欲しい物」に変わる世界は、確かに一時的には幸せかもしれませんが、必ず人生に不調和を生じます。
そんな世界には「秩序」がなく、性格だってひどくわがままになってしまうでしょう。
願っても叶わないことがあるからこそ人は努力しますし、自分自身を律することができるのです。
その積み重ねが社会全体の「秩序」となると言っても過言ではありません。
ゆえにこのカードには、次のようなアファメーションの言葉が与えられています。
(※アファメーションとは?…肯定的な自己暗示。自分で自分に前向きな言葉で魔法をかけることです。アファメーションを行うことで、幸せな未来を引き寄せやすくなると言われています。)
「私は自分の全ての行動に責任を持ちます」
ミダス王は、欲望に流されてしまったが為に、他の人の人生まで変えてしまいました。
一国の主がそんなことをしていれば、国はあっけなく滅びてしまうでしょう。
私たちも同じです。
私たちが意志を持って秩序を守らなければ、「私」という王国は滅びてしまいます。
だからこそ、自分自身の言動に責任を持ち、自分の中にある「天秤」のバランスを保ち続けることが大切なのです。
まとめ
インナーチャイルドカード 大アルカナ12枚目の「ミダス王と金の手」についてご紹介しました。
誰の身にも、良いことも悪いこともバランスよく起こります。
それが人生というものですし、与えられた条件の中でもがくことが人生の醍醐味と言えるのかもしれませんね。
欲張って「良いことだけ」を望むと、ミダス王のようにバランスを崩し、本当に大切なものを全て失ってしまうでしょう。
このカードを引いた時、あるいは何かうまくいかない時には、自分自身の手を眺めてみてください。
その手で、あなたは全てを金に変えようとしていませんか?
無意識のうちに、そうしようとしているのかもしれません。
そこに気づくことができれば思考のバランスが徐々に整い、物事の流れも整っていくでしょう。
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