「世界は鏡」という言葉があるように、私たちは他者を通じて本当の自分自身を知るという側面があります。
逆に言えば、「世界」という鏡がなければ自分という人間の本質を知ることは難しい…。
今回ご紹介するのは、そんなちょっと哲学的なテーマを持つ展開法です。
自分のことはよく見えない
例えば新しい服を買った時。
「この色、大好き!ぜったい、私に似合うに違いない」
…そう思って着てみたら、鏡を見たらあまりしっくりこなくてガッカリした…そんな経験はありませんか?
ほかにも、自分では肌の調子が良いと思っていたのに、鏡を見て見たらしわやシミが増えていてガッカリ…なんてことも。
鏡を見なければルンルンでいられたのに、鏡という現実を突きつけられることでガッカリしてしまうこと。
実は日常生活ではよくあることです。
内面も同じことで、鏡を見なければ本当の姿はわかりません。
「なんだかみんなに軽く扱われている気がする」
「周りの人たちが冷たくなった気がする」
「あの人に嫌われている気がする」
…このように、他者に対してどことなくネガティブな印象を持ってしまう時は、たいてい、あなた自身が相手に対してネガティブな感情を抱いていたりすることが多いもの。
また、自分で自分自身を軽く扱っているから他者からも軽んじられるという側面もあります。
もし、あなたが今「ツイてない」「なにもかも最悪だ」「みんなに嫌われてしまっている」
そう思っている状態なのであれば、一旦、他者という鏡ではなく自分自身の内側に深く潜ってみることが必要かもしれません。
シンプルだけど気づきが多い!
自分を映し出す「他者」という鏡が、なんだか歪んでいたり汚れているように感じた時は、「鏡よ鏡」というスピレッド法で自分と向き合いましょう。
この方法では、大アルカナの22枚を使います。
カードを裏返した状態で楕円形に並べ、直感で1枚選びます。
そしてそのカードを楕円形の真ん中に配置しましょう。
それが、あなたの鏡。
そこに映し出されているのは、真実のあなたです。
そのカードと、じっくり向き合ってみましょう。
22枚ある中で、なぜそのカードだったのか。
そこには必ず、あなたが今向き合うべき特別なテーマがあるはずです。
「鏡よ鏡」実例
Aさん 42歳 女性 IT関係のデザイナー
Aさんが引いたカードは、「ラプンツェル」でした。
ラプンツェルは、ウェイト版タロットだと「塔」に対応するカード。
雷が塔を直撃し、人がまっさかさまに落ちていく様はとても衝撃的で、インパクトが強いカードです。
「安らぎ」を打ち砕くような動きが容赦なく生じることは、私たちが今より前に進むために必要不可欠な変化である」
このような教えを与えてくれるカードであり、ラプンツェルの物語においても、ラプンツェルと王子が引き離されるという”悲劇”は、HAPPYエンドを迎えるために避けては通れない出来事でした。
このカードを見たAさんは、「なんだかすごく、自分自身の嫌なところを見せられた気分…」だったとのこと。
魔女にロープを垂らし、それを引き上げようとしているラプンツェルの姿は、「自分は塔の上から”高みの見物”をしている、嫌な女」に見えたそうです。
そして、「魔女を引き上げる”フリ”をして、本当は”こっちに来て欲しくない”と思っている」、そんな心情を読み取り、
「いい人のフリをしているけど、本当は全然そうじゃない自分」
をよく象徴しているカードだと、正直に話してくれました。
「自分が本当につながりたい相手はいつも遠くにいて(遠くに描かれている王子様を指して)、あまり近づいてきて欲しくない人ばかりを引き寄せてしまう。好かれてしまう」
「子どものころからずっとそんな人間関係のパターンで。本当にこんな感じ」
確かに、Aさんがおっしゃる通り、ここに描かれているラプンツェルは積極的には魔女を塔の中に入れたくないようにも見えます。
しかし、彼女はロープを外しません。
本当に冷たく非情な人であったならば、ロープを渡したりするでしょうか?
私はそこに、Aさんの優しさや誠実さ、そして生きにくさを感じました。
たとえ嫌いだと思っていても、ロープを外したりしない。
きちんと目の前の人に向き合う誠実な人であったからこそ、多くの人に慕われるのではないでしょうか?
「嫌いな人からは好かれるのに、好きな人には好かれない」
とおっしゃる方は多いですが、それも人徳の一つです。
誰に対しても誠実に向き合う人となりが、人を惹きつけているというだけ。
その点をネガティブに捉えず、自信を持てるようになればAさんの現実は変わっていくでしょう。
遠くにいる王子様も、二人の様子をしっかり見ています。
決して魔女を邪険にしたりしないラプンツェルだったからこそ、王子様はあれほどまでに熱烈にラプンツェルを求めたのでしょう。
まとめ 本当の自分を出会うキッカケを与えてくれる
インナーチャイルドタロットカードの展開法の一つである「鏡よ鏡」についてご紹介しました。
実践例からもわかるように、絵を見るだけでその人の中に様々な感情やイメージ、記憶がどんどん湧き上がってくるというのがこのカードの魅力。
占いというよりは、やはり心理カウンセリングやヒーリングに近いものを感じます。
なので、一通り、クライアントさんが連想したものや感情を話してもらいましょう。
話していく中で、ご自身でも大事な気づきがあったり、抑えていた感情が溢れ出すこともあるはず。
塔が崩れることによって初めて星空が見えてくるように、心のブロックが崩れることによって明らかとなる本当の気持ちがあるかもしれません。
その気づきを、できるだけポジティブに解釈して本人に伝えていくというのが、占い師=「ガイド」としての役割でしょう。
物事のポジティブな面というのは、当事者にはなかなか見えなかったりするもの。
まったくの他人だからこそハッキリとわかることが、必ずあると思います。
コメント