カバラ生命の樹講座8回目の今回は、タロットとカバラについてのお話をしていきます。
タロットカードとカバラは、どちらも「神秘主義」の伝統に深く根ざしたもの。
それぞれが個別の歴史を持ちながらも、密接な繋がりがあります。
二つの比較は、タロットの深い象徴性を理解する鍵。
カバラの抽象的な哲学をより具体的に感じる手助けにもなるでしょう。
今回は、タロットとカバラの関係について見ていきます。
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
タロットと生命の樹の対応
カバラの「生命の樹(ツリー・オブ・ライフ)」は、10個のセフィロト&それを結ぶ22本のパス(道)で構成されています。
一方、タロットカードには22枚の大アルカナがあります。
この「22つながり」は単なる偶然ではありません。
22枚のカードは、生命の樹の22本のパスと対応しているとされ、タロットの象徴体系がカバラの哲学に基づいて構築されていることを示しているのです。
例えば、タロットの「愚者」は生命の樹の最初のパス(ケテルとコクマーをつなぐパス)に対応し、無知から知恵への出発点として解釈されます。
「女教皇」はコクマー(知恵)とビナ(理解)をつなぐパスに対応し、直感や内なる知恵を象徴しています。
つまり、タロットカードの順番や意味を理解することは、生命の樹を理解することにも繋がっています。
そしてそれは、時に自己理解を深める手助けともなるでしょう。
タロットカードを生命の樹の各パスに当てはめて解釈することで、タロットの象徴性がより深く理解できるのではないかと思います。
タロットの数字とカバラ
タロットの小アルカナは、1から10の数字が各スート(ワンド、カップ、ソード、ペンタクル)に割り当てられています。
この1~10の数字も、実は生命の樹のセフィラに対応しています。
例えば…
★1(ケテル:創造の種)
各スートの「1」は、物事の始まりや純粋な可能性を象徴するもの。
例えば、カップのエースは感情の新しい流れ、ワンドのエースは情熱や行動の始まりを示します。
★2(コクマー:知恵と対極)
コクマーは創造的な直感や霊的知恵、そして「二元性」を表しています。
タロットカードの各スートの「2」は、選択、調和、または対立のテーマの象徴です。
★3(ビナー:理解と創造の形)
ビナーは、可能性を形にする「創造」の力を表すもの。
同じく、各スートの「3」は、発展や協力、創造を象徴します。
★4(ケセド:慈愛と安定)
ケセドは拡大と安定、無限の愛と優しさを表します。
各スートの「4」は、安定や構造の象徴。
★5(ゲブラー:力と挑戦)
ゲブラーは力と制限を表し、強さや規律、調和のために必要な制限を象徴しています。
各スートの「5」は、困難や変化、試練を象徴。
★6(ティファレト:調和と美)
ティファレトは調和と美、愛と真実を象徴します。
各スートの「6」は、回復や調和、前進を表していると言えるでしょう。
★7(ネツァク:勝利と忍耐)
ネツァクは「勝利」や「忍耐」、「永続性」を象徴するもの。
内なる情熱と外界での挑戦を乗り越える力を意味します。
各スートの「7」は、挑戦や選択、勝利への道を示します。
★8(ホド:栄光と自己統制)
ホドは「栄光」や「自己コントロール」を表し、知恵や洞察、自己反省を通じて得られる力を象徴します。
各スートの「8」は、自己統制や変化、洞察の重要性を表しています。
★9(イェソド:基盤と精神的完成)
イェソドは「基盤」を意味し、精神的なエネルギーが物質的な現実に反映される前の準備段階。
各スートの「9」は、完成に近い段階での満足感や内省、自己完結を示します。
★10(マルクト:現実世界)
10は具体的な形や成果を示します。
ペンタクルの10は物質的な安定や繁栄を意味し、カップの10は感情的な満足や家庭の幸福を表しています。
…このように、数字はセフィロトのエネルギーを反映し、タロットカードにおけるストーリーや成長の段階を表現しているのです。
タロットの数字の意味が、カバラのセフィラとしっかりリンクしていることがお分かりいただけたことでしょう。
ヘブライ文字とタロットの対応
カバラでは、ヘブライ文字が重要な役割を果たします。(そもそも、「カバラ」自体がヘブライ語です)
それぞれのヘブライ文字には数値や象徴的な意味があり、22の大アルカナカードもこれらのヘブライ文字と対応しているのです。
★「愚者(The Fool)」とヘブライ文字「Aleph(アレフ)」
「アレフ」は、無限の可能性や新たな始まりを象徴し、愚者カードが持つエネルギーと一致します。
愚者が人生の旅のスタート地点を表すように、「アレフ」もまた出発点や潜在的な力を意味しているのです。
★「魔術師(The Magician)」とヘブライ文字「Bet(ベート)」
「ベート」は家や内側の空間を意味し、創造の始まりや顕現の力を象徴します。
「魔術師」が持つ、自分の内なる力を外界に具現化するエネルギーと調和していますね。
★ 「女教皇(The High Priestess)」とヘブライ文字「Gimel(ギメル)」
「ギメル」は動きを表し、旅や知識の探求を象徴します。
「女教皇」は内なる直感や霊的な知識への導きを意味し、見えない真理を追求する性質を持ちますから、「ギメル」のエネルギーと一致するでしょう。
★ 「力(Strength)」とヘブライ文字「Teth(テット)」
「テット」は蛇や包み込む力を象徴し、潜在的なエネルギーや忍耐力を表します。
「力」のカードは内なる勇気や穏やかな自己コントロールを表し、まさにこの文字の意味とリンクしていますね。
★ 「節制(Temperance)」とヘブライ文字「Samekh(サメク)」
「サメク」は支えるものや保護を意味し、調和やバランスを象徴します。
「節制」のカードは異なる要素を調和させ、新たな安定を作り出す力を示し、「サメク」の性質と一致します。
★「悪魔(The Devil)」とヘブライ文字「Ayin(アイン)」
「アイン」は「目」を意味し、物質的な世界や視覚的な誘惑を象徴します。
「悪魔」のカードは束縛や物質的な欲望を示し、「アイン」の現実的な側面や執着の象徴とリンクしているのです。
★「死(Death)」とヘブライ文字「Nun(ヌン)」
「ヌン」は再生や変容を表し、タロットの「死」カードが持つ「終わりからの新しい始まり」というメッセージと深く関連しています。
…このように、ヘブライ文字との対応を学ぶことで、タロットカードの背景にあるさらに奥深い意味を探ることができるのです。
タロットとカバラの知識を応用することで、日々の問題解決がスムーズになることを実感できるでしょう。
これまで、「タロットのリーディングが難しい」と感じていた場合も、カバラの知識を組み合わせることで「なるほど、そういうことか」と納得できる部分もあるかもしれません。
例えば、「ペンタクルの7」というカードが出たとします。
このカードは「努力や忍耐」を象徴しますが、カバラの生命の樹においては「ネツァク(忍耐と勝利)」に対応しています。
これを日常に当てはめると、「今は結果が見えなくても、努力を続けることで勝利が近づく」というアドバイスとして受け取ることができます。
この視点を得ることで、停滞感や不安を乗り越えやすくなるでしょう。
また、「カップの2」が出た場合、これは「調和やパートナーシップ」を表します。
カバラでは「イエソド(基盤)」とのつながりが強調されるため、「信頼関係を基盤にした交流が、良い結果をもたらす」という具体的なアドバイスになります。
例えば職場での新しい同僚との関係を築く際に、「まず信頼を築くことが重要」と気づかせてくれるのです。
このように、タロットのカードとカバラの知識を組み合わせることで、カードが抽象的に示す意味を、日常生活に即した具体的なアクションに落とし込むことが可能になります。
これにより、カードリーディングがより実践的でわかりやすいものとなるでしょう。
まとめ
タロットとカバラは共に、「人生」というものを象徴的な”旅”として捉えています。
この旅は、試練や学びを通じて成長していくプロセスそのもの。
カバラの生命の樹とタロットの大アルカナが示す象徴性を理解することで、私たちは日常生活の中に隠された意味や学びを発見できるでしょう。
タロットとカバラの深い結びつきは、これらを単独で使用するよりもさらに奥深い洞察をもたらします。
生命の樹、ヘブライ文字、数字の象徴といったカバラの要素をタロットに当てはめることで、カードの意味がより鮮明になり、実生活での活用法が広がるはず。
二つの融合を通じて、自分自身や宇宙の仕組みについて新たな視点を得ることができるでしょう。
それは、自分や相談者の人生の旅路における信頼できるコンパスとなるはずです。