マルセイユタロット講座、2回目の今回は、マルセイユタロットとウェイト版との大きな違いについてご紹介していきます。
タロットカードの2大スターとも言えるウェイト版とマルセイユ版のデッキ。
似ているようでいて違う・・・そんな二つを実際に比較してみるとどんな違いがあるのでしょうか?
という訳で、今回は大アルカナの違いに注目してみました!
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
「愚者」の位置づけが違う
ウェイト版に慣れている方は、「タロットカードの始まりと言えば、愚者くんでしょ!」と思われるでしょう。
ですから、マルセイユ版のカードの並びを見て、初っ端から「あれ?」と思うハズ。
なぜなら、マルセイユ版では愚者が大アルカナの最後に位置付けられていたり、そもそも番号が振られていないデッキもあったりするからです。
占術家によって愚者の位置づけについての解釈は様々で、「ジョーカー」として位置付けている方も多いですよ。
ウェイト版では、大アルカナ=「未熟な愚者くんが旅に出て、様々な体験を通して成長していく物語」として解釈している占者さんが多いですが、マルセイユ版では
・所詮、肉体は魂の入れ物に過ぎない
・あなたがどこを旅していようとも、あなたは魂によって導かれる
・魂は輪廻転生する
このようなテーマを表すカートとして描かれているのです。
0の愚者から始まって、長い旅路の先に「完成された世界(21 THE WORLD)がある」と捉えるウェイト版に対して、マルセイユ版では
「この楽園に留まり続けるか、あるいはもう一度新しい魂の旅に出るかはあなた次第だ」
と、一歩進んだメッセージがあるのがとても興味深いですね。
この違いだけでも非常に意味深く、タロットの世界にのめり込む方が多いのもうなずけます。
登場人物が「見ている方向」が違う
もしウェイト版とマルセイユ版の両方のタロットカードをお持ちでしたら、2種類を並べてじっくり眺めてみてください。
似ているように見えて、「なんでわざわざここを描き分けたの?」と思うような違いがたくさん詰め込まれていることに気づきます。
例えば、登場人物の視線です。
魔術師~教皇まで並べてみましたので、まずはご覧ください。
どうですか?
ウェイト版ではすべての人物が正面を向いてますが、マルセイユ版では左を向いたり右を向いたりしていますね。
タロットカードの世界では、向かって左が過去、正面が現在、右が未来を表しています。
例えば①の魔術師は、体は正面を向いていますが顔は左を向いていますよね。
つまり、肉体と心は統一されていない。
ただひたむきに前に進んでいく人物ではなく、過去への未練もたらたらなんです。
自信がありそうに見えて、実は自信がない・・・。ある意味では、人の「二面性」を表すカードとも言えるでしょう。
そのような意味では、女教皇は体と顔の向きが一致していますね。
つまり、自分の心に嘘がないということです。
このようなリーディングは、ウェイト版ではなかなかできないもの。
身体の向きや視線から人物の心情まで読み取ることができてしまうところに、マルセイユタロットの面白さがあります。
描かれている物も異なる
また、視線だけではなく、そもそも描かれている人や物が違うカードも多いですね。
例えば、3の「女帝」のカード。
マルセイユ版では、ワシの紋章がついた盾を手に抱えています。
同じマークが皇帝のカードにもありますね。
ヨーロッパでは「権威」を象徴するもので、都市国家や城主が身に着けるエンブレムなのです。
伝統的に、女帝は「母性」の象徴。
母親とは、子供に「生きる知恵」を教える存在です。
未来を担う子供たちに衣食住を教える存在は、言ってみればその家や国家の未来を創る存在とも言えます。
そう考えると、ある意味では王様よりも権威ある存在かもしれませんよね。
このワシのマークにはそのような意味が含まれているようにも見て取れます。
また、「恋人たち」のカードに描かれている人物の数が違う!というのも、よく知られている違いですよね。
ウェイト版だと「男女+天使」の構成ですが、マルセイユ版は間にもう一人いて、なにやら揉めてる風な雰囲気。
男性が二人の女性に囲まれていることから、三角関係を表しているとも言われています。
面白いのが、男性の顔の向き。
身体は向かって右側の女性を向いているのに、顔は左を向いています。
これは、心と身体がかい離していること、本能には逆らえないことをよく表していますね。
カードの順番が異なる
「愚者」とは別に、カードの順番が違っているところがもう一つあります。
それは、8番の「力」のカード。
ウェイト版では「力」ですが、マルセイユ版では「正義」になっているのです。
なぜ入れ替わっているのか?については諸説ありますが、有力なのは「星座の順番に合わせて入れ替えた」という説。
「力」は獅子座を、「正義」は天秤座を表していると言われていて、ウェイト版はこの順番に合わせて8と11を入れ替えて作ったと言われています。
このように、西洋占星術と関連づけて見ていけるのもタロットカードの面白いところです。
正義も力によって誰かを裁くわけですから、「力」にしても「正義」にしても結局のところ共通するテーマは「力」ですよね。
どちらの順番が自分的にはしっくりくるか?
カードを眺めながら考えてみるのも楽しい時間になりそうです。
【まとめ】似て非なるもの。違いを見つけるとなんだか嬉しい!
「ウェイト版とマルセイユ版って、絵柄は違うけど意味は同じでしょ?」
そんな声もよく耳にしますが、実際は似て非なるもので、詳しく学べば学ぶほどリーディングの仕方にも違いが出てくるはずです。
描かれているもの、人物、その視線や身体の向きに注目して眺めてみると、あなただけが気づけることも多くあるかもしれません。
どちらのタロットリーディングにも「これが正解」というのはあるようでいてありません。
ぜひ、タロットの世界を楽しみながらオリジナルなリーディングを究めていきましょう。
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