タロットシンボルリーディング講座20回目の今回は、「建物」が意味することについてのお話をしていきます。
タロットカードには、色鮮やかな自然風景が描かれているカードが多い一方で、コンクリートのような人工的な建造物が描かれているカードもあります。
灰色でちょっと無機質な印象を受けることもありますが、これらの建物は何を意味しているのでしょうか?
今回は、主なカードに描かれる建造物の象徴とその解釈例をいくつか見ていきましょう。
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
タワー(塔)
タワーのカードに描かれる塔は、旧約聖書のバベルの塔を表すとも言われています。
このカードでは、「崩壊」というかなりショッキングな瞬間が切り取られていますね。
高くそびえ立つ塔が雷に打たれ、崩れ落ちる様子は、突然の変化や破壊、混乱を象徴します。
これは、既存の秩序や価値観が崩れ、新たな視点や再構築が必要であることを示唆しているのです。
物質的な安定が揺らぐことを意味する一方で、新しい可能性の始まりでもあります。
大アルカナ「月(The Moon)」との対比
太陽と月は、現実世界でもよく比較されるものですよね。
占いの世界では特にそのような傾向があります。
比較することで、それぞれの特徴が際立ち、理解しやすくなるということもあるでしょう。
タロットだと、太陽は大アルカナの18番目のカード「月(The Moon)」との対比でしばしば語られます。
月が不安や幻想、迷い、無意識を象徴するのに対し、太陽は明晰さ、真実、意識的な理解を象徴します。
月が恐れや不安を象徴するのに対し、太陽の光は恐れを追い払い、安心感をもたらすのです。
また、月が無意識や夢、直感を象徴するのに対し、太陽は意識的な理解や論理的な思考を象徴します。
太陽のカードは、「理性」や「論理性」を強調することが多いのです。
また、伝統的に「太陽」は男性性を、「月」は女性性を表します。
この対比は、二つの天体が持つ特性や影響力の違いに基づいています。
太陽は、明るく、力強く、生命を育む光を放ちます。
日光は人間界に温かさと活力をもたらし、成長や創造のエネルギーを与えてくれるのです。
毎朝東から昇り、西に沈むその規則正しい運行は、秩序や安定を象徴することも。
これらは、積極的、外向的、リーダーシップ、理性、そして創造力といった「男性性」の特質と結び付けられます。
物事を明るく照らし、明らかにし、力強く前進するエネルギーを持つ存在…必ずしもそれは、今の時代は「男女」と性でわけられるほど単純なものではありませんが、
伝統的にはそのように結び付けられていたことを知っておくと良いでしょう。
一方、月は、夜空に柔らかな光を放ち、その姿を絶えず変えながらも一定の周期で満ち欠けを繰り返します。
月の光は冷たく静かであり、直感や感情、内面的な世界と結びついています。
これらの性質は、受容的、内向的、感情豊か、直感的、そして育む力を持つ「女性性」と結びつけられます。
…このような太陽と月の対比は、「バランスをとることの重要性」を伝えているという捉え方もできるでしょう。
昼と夜、光と影、理性と感情、積極性と受動性。
この二つのエネルギーが調和することで、自然界は健全なバランスを保つことができるのです。
人間もまた、内なる男性性と女性性をバランスよく統合することで、より豊かで調和の取れた人生を送ることができるでしょう。
宮殿
たとえば女教皇や法王のカードのように、背景に宮殿と思しき建物の柱が描かれていることがあります。
これは、ある意味では「境界」の意味を持っており、この柱の奥は「聖域」とされています。
また、タロットに限らず、スピリチュアルにおいて堅固な城や宮殿は、「権威」「秩序」「安定」を象徴します。
そこに描かれている人物が統治者としての責任と力を持ち、物質的な豊かさや社会的な地位を備えていることを表しているのでしょう。
建造物は、社会的な構造や法律、伝統の堅牢さを示し、安定した基盤の上での支配や管理を象徴します。
女教皇の柱
「宮殿」の項目でも少し触れましたが、女教皇のカードに描かれる神殿の柱(門)は、精神的な探求や内面的な知識を象徴します。
この門に描かれている文字は、黒=ボアズ (Boaz) と白=ヤヒン (Jachin) を表しています。
この柱は、古代イスラエルのエルサレム神殿の入口に立っていたもので、ボアズは「闇」「強さ」や「力」を象徴するもの。
ボアズは受動的なエネルギーや内なる強さ、忍耐力を表し、潜在意識や未知の領域を探求する力を象徴します。
一方、ヤヒンは白い柱として描かれ、「光」「確立する」や「安定」を象徴しています。
この門は物質的な世界を超えた精神的な次元への入り口としての意味を持ち、この門を超えることによって秘教的な知識や直感、内なる真実に到達できるということ。
…ちょっと抽象的でわかりにくいかもしれませんが、「精神的な成長や啓示を得るための神聖な入口」=「神社の鳥居みたいなもの」と覚えておくと良いでしょう。
家
例えば
ペンタクルの4やカップの10では背後に「家」が描かれていますね。
これは、家庭や家族の安定、物質的な豊かさを象徴します。
これらのカードに描かれる家は、安全で守られた場所、豊かな家庭生活、満足感を意味するもの。
物質的な成功や繁栄を表していて、このカードが出る時は物質的に満たされていて、生活が安定している場合が多いです。
墓
審判のカードには、墓から蘇る人々が描かれています。
これは復活や再生、目覚めを象徴するもの。
お墓はスピリチュアルな意味で、死後の世界や魂の永続性を象徴します。
その根底にあるのは、「物質的な身体の終焉を示す一方、魂は輪廻転生を続ける」…という考え方です。
お墓は、過去とのつながり、祖先の知恵、そして記憶を保つ場所。
また、霊的な旅の一環として、肉体の終わりと新たな霊的段階への移行を象徴します。
「審判」のカードは、物質的な死を超えた霊的な再生や、新たなる始まりを知らせる「ステージアップ」の意味があり、
ここで過去の行いや決断に対する審判が下され、新たな段階へと進み始める準備が整ったことを表しているのです。
このように、タロットを勉強すると「死」が決して悲しいだけのネガティブなものではないということに気づかされます。
【まとめ】建物の意味
このように、タロットカードに描かれる建造物は、実はただの「背景」ではなく、それ自体が特別な意味を持っています。
物質的な価値観、社会的な構造、精神的な探求…etc、多岐にわたるメッセージを読み取ることができるでしょう。
リーディングする際には、気になる建造物のスピリチュアルな意味を調べてみるのもおススメ!
カードにどのような形でそのメッセージが反映されているかを考慮することで、より深く、相談者の心に刺さるリーディングができるようになるでしょう。