タロットシンボルリーディング講座25回目の今回は、前半に続き、空の「雲」がもたらすメッセージ【後編】についてのお話をしていきます。
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
似ている雲は何を意味している?①
78枚のカードを並べてみると、形が似た雲が描かれているカードが複数あることに気づくでしょう。
例えば、「ソードの5」と「ソードのナイト」には、いずれも流れるような形の雲が描かれています。
「ソードの5」では、カードに描かれた雲は、戦いの後の混乱や、敗北、裏切りの兆しを象徴しています。
戦闘の場面で、ソードが散らばり、背景には不安定で暗い雲が広がっています。
雲が持つ象徴的な意味は、今現在としては目の前の状況が混乱し、心が乱れている状態を示しています。
勝利した者と敗北した者がそれぞれの立場を取ったまま、曇った空気の中で解決策を見つけられずにいる様子が描かれているのです。
この雲はまた、敗北後の無力感や後悔を暗示する場合もあります。
何かを得るために戦った結果、損失や感情的な傷を負うことを示唆しており、その中で清々しい結論を迎えるのが難しいことを意味しています。
雲は、今はまだその霧が晴れないことを教えているのです。
一方、「ソードのナイト」では、ナイトが高速で前進し、風を切って進んでいく姿が描かれています。
その背後にも雲が見られますが、この雲は「ソードの5」のような暗く不安定な雲ではなく、むしろ速さと動き、エネルギーを象徴するものです。
非常に速い動き、急な変化、そしてそれに伴う不安定さ…つまり、ナイトの意志や行動が速すぎて、状況や感情がついていけない様子が表れているということ。
ナイトが突進していくその勢いに対し、雲はその進行がもたらす混乱や予測不可能な結果を暗示しており、物事が速すぎて整理できないことを象徴しています。
彼の行動は時に無謀で、計画性を欠いている可能性を示唆するという捉え方もできますね。
雲は、急な動きが引き起こす問題や未解決の混乱を示しています。
それぞれのカードにおける雲の意味合いは異なりますが、これらのカードに共通して描かれる雲は、どちらも「混乱」や「不安定さ」を象徴しています。
そして、最終的に状況が明確になることを暗示している…とも解釈できるでしょう。
似ている雲は何を意味している?②
もう一つ、「似ている雲」の例として「運命の輪」や「ソードのペイジ」「ソードのクイーン」「ソードのキング」に描かれている雲も似たような形をしています。
「運命の輪」は変化、周期、そして人生の転換点を象徴します。
このカードにおける雲は、人生の中での不確実性や、予測できない未来を暗示します。
雲が示すのは、現在の状況が必ずしも永久的ではないということです。すべてが移り変わり、どんな状況も変化することを表しています。
また、雲は運命が私たちの生活に与える影響を示すことがあります。
運命の輪が回り、私たちの状況が予測できない方向に進んでいく様子が、雲の動きで表現されているのです。
この雲は、変化の力や不安定さを示しながらも、最終的には新たな明るさ(晴れ間)が訪れることを教えてくれるでしょう。
「ソードのペイジ」のカードでは、雲がペイジの周囲に描かれており、カード全体に緊張感と不安定さが漂います。
ペイジはしばしば新しいアイデアや情報を探し求める存在ですが、その周りに雲があることで、知識や情報の混乱、思考の混乱が暗示されます。
思考がはっきりしない状態や、感情的に曖昧な時期を表現しており、しばらくは不確実なままで進む必要があることを意味しているのです。
「ソードのクイーン」のカードでは、クイーンが空を見上げる姿が描かれ、雲が彼女の周りに浮かんでいます。
クイーンは理論的で冷静に状況を判断する人物ですが、雲は彼女が感情的に直面している葛藤や、思考が一時的に混乱している状態を示しています。
この雲は感情が一時的に霧に包まれている状態であり、クイーンはその中で冷静さを保ちながらも、感情的な困難を乗り越えていくことを求められているよう。
雲はまた、クイーンがどんな困難にも理性的に対処する能力を備えた女性であることを象徴しています。
彼女が雲を晴らし、状況を明確にすることで、「最終的に問題を解決できるだろう」ということを示唆しているのです。
最後、「ソードのキング」のカードでは、キングが空を見つめている姿が描かれ、そこにも雲が存在します。
キングは理性と判断力を象徴し、感情に左右されず、冷静で明確な判断を下す人物です。
しかし、雲の存在は、彼が直面している複雑な問題や葛藤を示すこともあります。
複雑で矛盾する情報や問題を抱えていることに対して、彼が持つ情報や知識が不完全であることを意味しているのです。
それでも彼は、持っている知識を生かして最も理性的で誠実な判断を下すでしょう。
雲が晴れれば、最終的に問題の本質が明らかになり、解決に向けて進むことができる。…そんなメッセージを受け取ることができますね。
…これらのカードに共通して描かれる雲は、「不確実性」や「一時的な混乱」を象徴していますが、同時にその雲は最終的には「晴れる」ということを暗示しています。
混乱を乗り越えた先に、新たな希望や可能性が見えてくることが示唆されているのです。
まとめ
このようにタロットカードにおける「雲」は、感情…というよりもどちらかといえば「思考」や「状況」の状態を表しています。
思考もまた、感情のように不安定で、刻々と変わっていくもの。
しかし、感情に比べると一つのところに留まりにくい性質を持っています。
例えば、誰かに対する「愛」という感情は時に執着となって残ってしまったりしますが、昨日考えていたことや覚えたことはあっさりと忘れてしまったりするもの。
そのような点で、感情が「水」で思考が「雲」と描き分けられているのは納得感がありますね。(科学的に見れば水も雲もつながっていますが…)
タロットカードで雲が描かれたカードが出た場合は、ぜひその色や形状、動きにも注目してみましょう。
その人が置かれている状況や頭の中の状態が垣間見えるはずです。